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人生何とかなるものだ。
搭乗手続きに十分間に合う時間に成田に着いて、ぼくは安心しきっていた。
「大変だったんですよ、ほんとバカですよね」なんて話す自分を想像しながらカウンターに向かう。
実は少し汗ばんだ手に気づかれないようにパスポートを差し出す。

「お客様、片道でのご予約のようですが、お帰りはどうなさるご予定ですか?」
「帰りはこの便で。行きのフライトを逃してしまって…。」
「こちらの往路の便に搭乗されなかった場合、復路もキャンセルされている可能性がございますが。」
「……………………は?」
「お帰りが決まっていないお客様は残念ながら搭乗できないのですが。」
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慌てて元々乗るはずだった航空会社のサポートセンターに電話をする。
愛想のない男性が、淡々と対応する。
「行きの便に乗らなかったからと言って、帰りの便がキャンセルになるということはございません。」
念のため、予約番号を何度も確認する。
予約ページを見せるためもう一度カウンターに向かう。

「確認は取れましたか?」
「はい。とりあえず予約ぺ…」
「あ、結構ですよ。」

え、口頭でいいの?
拍子抜けしながらも手続きが終わり、搭乗ゲートに向かう。
突然空腹に気付いて、何か食べようと思うけれど、飛行機代が余分にかかっていることが気になってお店に入る気になれず、コンビニで簡単に済ます。
緊張しながら保安検査、出国審査と終わり、飛行機に乗り込む。
6時間ほどを無駄にした。本当ならもう台北に着いている時間。
まだ何か、あるんじゃないか。不安が全然なくならない。
でもとりあえず飛行機は飛んだんだ。
ようやく、これで本当に、笑い話にできるんだと無精髭の頬を撫でながら眠る。
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ちなみに、帰りの便の搭乗手続き。
びっくりした顔で色々聞かれました。
どうやって来たのか、どこの会社なのか、電話で問い合わせたのか。
いや大丈夫だけど、ウソでしょ?みたいなことを言いながら、
他の人に聞きに行ったり、電話でどこかに問い合わせたり。

台湾でのことよりも、フライトのトラブルがメインのような旅で、
きっとこれから先ずっと、笑い話として話し続けることになるんだろう。
いつか誰かを笑わせるのに、落ち込んでいる人を慰めるのに、使えたらいいなと思う。
色々あるけどそれでも、人生何とかなるものだよ、って。